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屈指の技術力を誇る「カジレーネ」が織物産業に描く未来像(後編)


さまざまな機能性素材を展開する旭化成アドバンスのテキスタイルブランド「ECOSENSOR®︎(エコセンサー)」。環境負荷の少ない原材料と加工方法にこだわって生まれた「ECOSENSOR®︎」だが、さらにサステナビリティを推進する取り組みを進めている。現代の暮らしに欠かせない合成繊維生地を、いかにして環境対応型に変えていくのか。そのチャレンジを追いかけた。

繊維産業で始まったサステナビリティの取り組み

髪の毛の1/3程度しかない極細の原糸・加工糸を使って織り上げる軽さを極めた生地や、どんな動きも妨げない快適なストレッチ性能を備えた生地、防水機能と蒸れない快適さを両立させた生地……合成繊維生地における軽さや薄さ、性能が究極に行き着いた現在、技術革新の舞台はサステナビリティにシフトしつつある。

「現代の暮らしに合成繊維生地はなくてはならないものですが、欧米のアウトドア業界における環境意識の高まりや持続型社会構築のニーズを受け、従来の石油由来素材が環境配慮素材への転換を求められており、アウトドアアパレルメーカーにおいては『環境配慮素材でないと採用できない』という流れも生まれています」(カジレーネのテキスタイル事業部長 髙木光朗さん)

カジレーネでは現在、リサイクル素材、もしくは将来的にリサイクルが可能な生地の製造へと舵を切っています。

その一環として、メーカーと連携し、使用後の繊維製品を再資源化することを目的に、コットンやナイロン、ポリエステルといった素材を効率的に分離・再利用するための技術開発に取り組んでいます。

また、新設した「KAJI FACTORY PARK」の製造ラインでは環境に配慮した取り組みも進められている。

「たとえば、織物製造時に稼働させるウォータージェットの排水の再利用があります。ウォータージェットは時速180kmで噴出する水の流れによってヨコ糸を挿入する織機。地下水を組み上げて使用していますが、この排水を循環して再利用すべく、施設内の浄水システムを稼働させる予定です」

製造工程で生じる残糸もリサイクル

「また、工場内で使用するエネルギーを再生可能エネルギーに変えるべく、「KAJI FACTORY PARK」には太陽光パネルを設置しました。さらに、今後は生分解性素材やマイクロプラスチックフリーの素材を使用した生地開発など、現在の社会課題の解決につながる新規開発も計画しています」

©2025KAJI FACTORY PARK/studiome.jp

©2025KAJI FACTORY PARK/studiome.jp

「生分解性の樹脂はすでにコーヒーチェーン店のストローに採用されていますが、この樹脂を繊維化して生地にするという取り組みが進んでいます。これは私たちの力だけでは実現できませんから素材メーカーとの協働が欠かせませんが、新素材2、3年後には生分解性の生地を量産できるようになるでしょう」

カジレーネのテキスタイル事業部長、髙木光朗さん

カジレーネが将来的に目指すのは、繊維業界全体でサーキュラーエコノミーを推し進めること。技術、プラント、回収……全オペレーションにおいてサーキュラーを意識した取り組みが必要だと考えており、サーキュラーエコノミーに対する意識を共有するECOSENSOR®と連携して、「サステナビリティや環境に配慮した素材を身につけることがスマートである」というブランディングを進めていく考えだ。このとき、「KAJI FACTORY PARK」がそうした情報発信の拠点となっていきそうだ。

©2025KAJI FACTORY PARK/studiome.jp

そのショウケースとなるのが、髙木さんがディレクションを行う、同社のオリジナル生地ブランド「KAJIF(カジフ)」だ。

「ブランドロゴに金の原子番号である79を冠した生地ブランドで、自社開発の合繊生地の上質さや機能性、可能性を広くアピールしたいと考えており、クリエイターやデザイナー、ブランドと直接やりとりをして付加価値のあるものづくりを行なっていきます。

また、自社工場で排出される廃棄物の一部を再資源化して生地に仕立てたり、バイオマス由来の原料を使用したり、ファクトリーブランドの責任としてさまざまな環境配慮プロジェクトにもトライしています。リサイクル糸を使うことが当たり前になりつつある現在ですが、今後はさらにトレーサビリティが徹底され、どこで紡糸され、糸になり、織られたのか、一枚の衣服から源流を辿ることができるようになるはずです。こうした真面目な取り組みを、わくわくするような体験として魅力的に見せていくことも、「KAJIF」を擁する体験型工場である「KAJI FACTORY PARK」の使命だと考えています」

©2025KAJI FACTORY PARK/studiome.jp

©2025KAJI FACTORY PARK/studiome.jp

©2025KAJI FACTORY PARK/studiome.jp

地域の人々と手を取り合い、伝統の織物産業や合成繊維生地の可能性を発信する「KAJI FACTORY PARK」。生地づくりの工程や背景を知ることができるほか、カフェやショップでのひとときも楽しむことができる(写真提供:カジグループ)

さまざまな生地を通して発信される、進化するサステナビリティや未来の繊維の姿、ものづくりの担い手が考えるサーキュラーエコノミーのありかた。驚くほどカラフルでクリエイティビティに満ちた未来の繊維は、私たち消費者をさらにときめかせてくれるに違いない。

©2025KAJI FACTORY PARK/studiome.jp

©2025KAJI FACTORY PARK/studiome.jp

©2025KAJI FACTORY PARK/studiome.jp

カジグループ

https://www.kajigroup.co.jp

KAJI FACTORY PARK

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