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日本の外遊びに特化したアウトドアウエアを生み出す 素材選びを妥協しない、「AXESQUIN(アクシーズクイン)」のものづくり

「四季の山を歩き、思い、創造する」というコンセプトを掲げ、日本の野山を軽快に遊ぶためのウエアを展開する「AXESQUIN(アクシーズクイン)」。日本独自の気候を見据えて開発されるウエア、行動中のハイカーに快適さをもたらす秘訣は生地選びにあり!?来春リリースされる「AXESQUIN」の新商品に採用されたのは、”旭化成アドバンスが展開する新・高機能ファブリック「ECOSENSOR@(エコセンサー)」”「AXESQUIN」の素材選びのポイントを紹介しよう。

日本の野山遊びに特化したウエア開発の極意

1988年、日本で誕生した「AXESQUIN」。当初は渓流釣りや沢登りのための無骨なギアやウエアを扱っていた。現在は、四季のある日本には、欧米の山々にはない独特の気候・環境があるとして、それを念頭においたアイテムを開発しており、独自の感性で表現する「日本らしさ」は、和名を冠した商品名やカラー名からも見て取れる。たとえば、江戸時代以前の日本で使われていた衣服に現代的な機能を落とし込んだ「凌(しのぎ)」シリーズでは、マタギやシノビ、クナイといったアイテムで、日本的な美意識と行動スタイルを表現している。

気候の変化が激しい野山で快適に過ごすためには、フィールドに適した機能素材が必要だ。

「『AXESQUIN』『AXESQUIN ELEMENTS』『凌』という3つのラインを展開していますが、いずれも天然素材のウールなど、素材の機能を活かしたものづくりをしています。着心地や機能を引き出すため、新しい機能素材を取り入れたアイテムを開発しレイヤリングで提案しています」(「AXESQUIN」商品部の柳谷真司さん)

自社のウエアがお似合いの柳谷さん

こうしたレイヤリングの適性やアイテムの仕様・使い勝手を判断するのに欠かせないのが、スタッフによるフィールドテスト。実地でのテストを積み重ね、いい点と悪い点を洗い出す。スタッフによる厳しいチェックを重ね、ようやくリリースされるのだ。24年の春夏シーズンにリリースした「AXESQUIN ELEMENTS」の「軽くて涼しい半袖シャツ」も同様のプロセスを経てシリーズに加わった。特長は、行動中の汗を放出する透湿性・通気性の良さと速乾性、横方向にストレッチする着心地のよさ。超軽量で、着ていることを忘れさせる着心地である。素材は100%リサイクル素材の「ECOSENSOR®︎」。

旭化成アドバンス株式会社の素材チームから、『環境にも配慮した、新しい機能性素材が出る』という話を聞いて、サンプルを見せてもらったことが採用のきっかけでした」

来春には「ECOSENSOR®︎」の別の生地を用いた「ヒュッテシャツ」「ヒュッテパンツ」をリリースする。「AXESQUIN」の「ヒュッテ」シリーズは、その名の通り、山小屋で過ごすリラックス・シーンを見据えて企画したものだ。ほどよく軽く、着心地はどこまでも柔らかく。リラックスタイムはもちろん、寝巻きとしてスリーピングバッグにもぐりこんでも快適で、外に出て山歩きも楽しめる。そんな幅広いシーンを想定した。

「だから素材選びでは、風合いと通気性の絶妙なバランスを求めました。さらっとドライな着心地なのに、肌あたりはやわらか。そして耐久性も備えている。素材に求めたこうした条件に合致したのが、ECOSENSOR®︎だったのです」

裏表の仕立てが違う二重織りの素材で仕立てた「ヒュッテシャツ」は通気度16㏄/㎠・sec*1(=旭化成アドバンスの一般的な単層コーティング製品(約5㏄)に比べて3倍通気性が高い)。春先や秋口などレイヤリングが難しい時期に重宝する、絶妙な通気性。
注釈*1:16ccは今回製品の実測値であり、製品での保証値ではありません

通気性をコントロールして、行動をもっと快適に

「AXESQUIN」の全シリーズにおいてとりわけ重視しているのが通気性だ。実は「AXESQUIN」は、製品に用いるすべての生地において独自の通気性検査を実施している。

通気度50㏄/㎠・sec*1(旭化成アドバンスの一般的な単層コーティング製品の10倍ダウン製品の50倍)
という高い通気性を誇る「軽くて涼しいロングシャツ」。透けるほど薄い素材ゆえ、着心地も軽やか。
注釈*2:50㏄は今回製品の実測値であり、製品の保証値ではありません

「私と、もう1人の商品企画担当者がとても汗かきで、行動中はウエアの濡れからくる不快感に悩まされていました。いろいろレイヤリングを試した結果、通気性をコントロールしておけば快適に動けることがわかったんです。通気性をメインにレイヤリングを組み立てるためには各アイテムの通気度のデータが必要でしたが、昔は生地メーカーがそれをもっていませんでした。そこで、独自に通気性検査を実施することにしたんです」

現在では「AXESQUIN」のアイテムを扱う販売店にも通気性へのこだわりが共有されており、店舗のSNSなどで通気性について発信してくれるようになった。そうしたアイテムを手に取った顧客も、実際のフィールドで通気性の重要性を実感してくれているようだ。

25SSは、春の野山を思わせる優しい色合いの新作を展開予定。

イノベーションの先に、夢の生地が待っている

柳谷さんも納得の通気度の高い素材を提案する旭化成アドバンス株式会社には、「さまざまな機能をもった生地を幅広く製造しており、まだ世の中に出回っていない新素材を開発しているところに期待している」。実に10年にも及ぶ旭化成グループとのパートナーシップだが、今後は「通気性と防水性を高い次元で両立する、夢のような生地」を期待しているそう。

「機能性と快適性は相反するものなので、これを両立させることは永遠の課題だと思っています。でも、ユーザーの視点で考えると、どちらも諦めたくありません。旭化成アドバンス株式会社のような企業の努力によってさらにイノベーションが進めば、そんな夢のような生地がいつか実現するかもしれませんね」

蒸し暑い梅雨時期のしとしとと雨が降り続ける日にも、ほとんど蒸れを感じることなく軽快に野山を歩く。「AXESQUIN」と「ECOSENSOR®︎」のタッグにより、いつかそんなハイキングが可能になるかもしれない。

AXESQUIN
https://www.axesquin.co.jp

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