「AnKoRau(アンコロウ)」は2007年に上海でスタートしたスポーツライフスタイルブランドだ。GO、Can I Stop、VIMO、ACTIVE、HEIJMO、KIDSと6つのラインを揃え、幅広い層に向けてスポーツのあるライフスタイルを提案している。母体は、2002年に同市で創業したアパレル企業である。2000年代初頭の中国において、「これからを担う若者にはライフスタイルが必要だ」というオーナーの強い思いから、これまでにない、ライフスタイルをベースにしたファッションブランドをスタート。そのなかで展開されていたスポーツライフスタイルのシリーズが、「AnKoRau」の前身である。
「2007年当時、スポーツは中国人の間でそれほど一般的なものではありませんでした。けれども、この17年で中国の若者の意識は大きく変化しました。現在では多くの人々がなにかしらのスポーツに励み、ライフスタイルの一つとしてそれを楽しんでいます。わたしたちは『想像力はスポーツから』という理念のもと、年齢層が異なる人々、スポーツを愛するすべての人にフィットするアイテムを製造しています」(ブランド総支配人の辛園/XIN YUANさん)

商品を売るよりも、スポーツコミュニティを作りたい
「AnKoRau」がユニークなのは、「スポーツアパレルブランド」というジャンルを超えて、上海におけるスポーツコミュニティの醸成に関わってきたところだ。上海を拠点とするスポーツチームの支援、チベットの女性たちによるサッカーチームのサポート、上海発の自転車ブランドとのコラボレーション。製品テスターに名を連ねるのはスリートではなく、日本人ハイキングガイドから北海道在住のスノーボードのコーチ、キャンピングカーで移動する北京のバンライファーまでさまざまなジャンルで活躍するインフルエンサーたち。「一般ユーザーに近い視点を大切にしたい」というブランドの姿勢が現れである。2019年から開催している「AnKoRau Fest」は「スポーツがあるライフスタイルの醍醐味をより幅広い層に訴求していこう」というブランドのコンセプトを体現するものだが、これにもさまざまなガレージメーカーやスポーツチームが集まり、コミュニティの盛り上げに一役買っている。
「昨年秋には浙江省安吉県の大聾林場で『20 Min ‘NO RUSH’廿来不及林道大赛』これも、『トレイルを守ろう、森に行こう』というメッセージを若者たちに伝えていこうと企画したものです。私たちは、スポーツがあることでライフスタイルはより豊かになるということを発信していきたいのです」





環境になるべく負荷をかけないスポーツライフスタイルを
そんな「AnKoRau」は近年、サステナビリティ向上のイニシアチブをとるべく「GOES GREEN」というスローガンを掲げている。その内容は、パッケージにおける生分解性素材とインクの採用、店頭におけるコットン、ポリエステル製の古着の回収とリサイクル、スワップステーション(物々交換マルシェ)の実施、リメイク&リサイクル商品を扱う「RENU」という店舗を運営と多岐に渡る。



こうしたサステナビリティ観は一部の製品ラインナップにも現れている。2025春夏に展開する超軽量のシャツとフーデッドジャケットに採用したのは、「ECOSENSOR®」の素材。軽量性と耐久性を高い次元で備えた素材で、彼らが考えるスポーツシーンにマッチしている。
「私たちは、『スポーツはライフスタイルである』という理念のもとに、機能性と環境配慮を重視した製品を提供しています。高性能で環境負荷の少ない「ECOSENSOR®」の価値観に共感し、これを取り入れた製品の開発がスタートしました」


この素材、もともとは2024秋冬のアクティブインサレーション用に開発したシェルに採用したものだった。「ECOSENSOR®」の素材を使用したシェルの内側に保温素材を使用することで、軽量性と保温性を兼ね備えた行動着として発売したのだが、この軽さを生かした新商品を春夏シーズン用にも企画した。
「超軽量のアクティブシャツの企画は『AnKoRau』で初となりますが、ごく軽量で紫外線を防ぐ効果もあり、暑い時期の戸外での活動に最適だと感じました。汗をかいても肌にはりつきにくく、快適に着用でき、レイヤリングにも重宝します。撥水効果もありますが、フッ素フリーで実現しているところもいい。シンプルな素材ながら多彩な機能を備えている点に共感し、それで継続して採用することになったのです」
コロナ禍を経てアウトドア志向やヘルシー志向が爆発的に高まった上海ではさまざまなスポーツビジネス、アウトドビジネスが誕生しているが、「AnKoRau」の先進性はただのビジネスにとどまらなかった点にある。ユーザー参加型のプラットフォームを築き、ユーザーと一緒になってコミュニティを盛り上げてきたことで、いまやシーンを代弁する存在となっているのだ。「みんながこのプラットフォームに参加し、共感してくれる。だから私たちの思いやメッセージをみんなが共有してくれる」と辛さん。こうしたブランドの活動を後押しするのが、2025年7月末にオープンした活動拠点、「AnKoRau Lab0 Center」だ。ここはラボ機能を備えたオフィスだが、一般のユーザーも利用できるスポーツセンターやボルダリングジム、ラボキッチンなども備えており、コミュニティに広く開かれた複合施設として機能している。

「上海の人々は週末になると郊外の山にハイキングに出かけたり、家族連れでキャンプ場に行ったりと、思い思いのアクティビティを楽しんでいます。そうした層に、スポーツを通してサステナビリティにも興味をもってもらうことで、私たちのライフスタイルも、それを取り巻く自然も豊かにしていこうというのが『AnKoRau』の願いです。同じ志を持つ『ECOSENSOR®』のようなパートナーと一緒に、さまざまなメッセージを届けていきたいと考えています」
AnKoRau : https://www.instagram.com/ankorau0
