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次世代の環境対応型撥水剤を実現、日本の染色仕上げ加工は次の次元へ

旭化成アドバンスと共同開発した環境対応型撥水剤を用いた撥水加工素材の耐水テストの様子

今回紹介するのは、ECOSENSOR®︎に取り入れられている、高度な染色・後加工である。「生き物のように周囲の環境の湿度や温度に左右される」といわれ、ただでさえ難しいとされるリサイクル素材を原料とするECOSENSOR®︎の染色加工は、熟練した職人たちをもってしても難易度が高いとされている。それを主に手がけているのが、福井県福井市に拠点を構える㈱ミツヤだ。最先端の繊維加工を得意とするメーカーで、産業用素材としての炭素繊維の開発でも知られており、アパレルから医療・航空分野まで、同社の素材は幅広い産業で活躍している。

ミツヤのテキスタイル加工生産本部 技術開発部に所属する梅谷貴大さん

㈱ミツヤが得意とするのは、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維の染色や後加工。「リサイクル素材を加工する場合、バージン素材とは全く異なる問題が生じます。まず、元の色がそのまま残っていることがありますし、バージン素材の白い生地よりも色の再現性が低くなります。同一環境・同一条件で染めても仕上がりが同じにならないという難しさもある。色出しをよくしようと水温を上げると、糸の強度が落ちてしまう。社内のラボで染色環境や条件をゼロから研究しなくてはなりませんでした」(梅谷貴大さん)

ついに実現。C6(フッ素含有型)と撥水機能において同等の性能を持つ、環境対応型の加工

海外向けの製品が多いことから、海外の市場が求める環境性能に合致したものづくりも求められる。たとえば、数年前から課題となっている撥水加工。レインウエアなどの撥水材として、高い撥水機能を持つPFAS(有機フッ素化合物)が長く使われてきた。だが、ご存知のように昨今では、“永遠の化学物質”といわれるPFASが問題となっている。幅広い用途で使用されてきたPFASは難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質から、使用にあたっての規制やリスク管理に関する取り組みが進められている(衣料用途においても、かつて使用されてきたPFOS: ペルフルオロオクタンスルホン酸、PFOA:ペルフルオロオクタン酸は使用禁止)。ECOSENSOR®︎では日本国内よりも厳しい海外の規制に合わせ、いち早くPFASフリーの撥水加工を求めてきたという経緯がある。

リサイクル素材ゆえの染色加工の難しさがあるというECOSENSOR®︎の生地。高い技術力により繊細な色出しも可能に


「欧米の繊維業界では日本に先駆けてフッ素フリーの加工が求められるようになったことから、繊維工場や素材メーカーとともにフッ素フリーの撥水剤の開発を進めてきました。私たちが着目したのは、ハスの葉のように自然界の中にあって水を弾く構造です。私たちはこのような構造的撥水の研究開発を長く行ってきました」

実装可能にはなったものの、新しい撥水加工を施した生地の加工しづらさはフッ素含有の撥水加工を施した生地の比ではない。「糸が滑りやすくなるので、縫製時に目がずれやすくなります。特に北陸が得意とする極細の糸を使った、軽量・薄手の生地ではそれが顕著です。また、安定性が低下するという問題もあります。加工中の温度管理など取り扱いが難しく、さらに汚れがつきやすいので製造時のロスが多いのです。このため、軽量・薄手の生地用の撥水剤を新たに開発し直す必要がありました」

湯と洗浄剤を使って、織物工場でつけた糊を取る精錬の工程。きれいに洗うことで、この後に行う染色工程の染料が繊維に染み込みやすくなる

㈱ミツヤが旭化成アドバンスとともに独自開発を行ったのが、環境対応型撥水処方だった。

「台風レベルの降雨にも対応し、通気性を損なうことなく水を弾くという、これまでにない加工を開発することになりました。洗濯をしても性能が落ちにくく、かつ各国が定める認証に対応する加工――ようやく量産の目処がたち、今年から実装できることになっています」

生地をローラーに巻き付けながら染料にくぐらせるジッガー染色機。高温の水蒸気によって高い圧力をかけることで熱が安定し、染まりやすくなる

株式会社 ミツヤ:http://www.e-mitsuya.jp

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